「叫ぶ鼻唄の会」もものです。

momocolor2006-01-25

鼻唄大ブームである。


鼻唄はいい。
鼻唄は気持ちを元気にしてくれる。


嫌な仕事の時だって
鼻唄一つ口ずさめば
心ウキウキ気持ちワクワク。




先日、深夜残業が終わってから
会社近くのホテルまでタクシーに乗ったときのこと。


草木も眠る丑満つ時。
妖怪「塗り仏」にさらわれでもしたら大変だということで
タクシーに乗りなさいと先輩に言われたのもあり
歩いて10分の近距離だが、タクシーを使うことにする。



タクシー乗り場で
「すごく近くて申し訳ないんですけどいいですか?」
と、やや申し訳なさげに運転手に告げ、
タクシーに乗り込む。


すると、2つ目の信号で止まったタクシーの車内で
くるりと振り返ったおっさんはこういった。


「あのさぁ、距離が近いときは
もうちょっと考えて。
流しのタクシーを捕まえるとか、歩くとか
いろいろあるでしょ?

こっちはねぇ、平均3時間くらい並んで待ってるんだよ?」




かっちーーーーーーーーーーーーーーーーん。



やばい。
やばい。
ものすごくものすごく
腹が立ってしまった。


「最初から近いって言ってるんだから
イヤなら乗る前にいえ!!!」
とか
「それが商売だろ!!!」
とか


そんなおっさんを非難する言葉を発しようとした瞬間。


私の目に
タクシーのおっちゃんの
幸せと比例するかのような肩の薄さが映る。


「やっとありついた今日の稼ぎがこの660円なのかもしれない。」
「家に帰ったら、出て行った女房と子供の写真を肴に
ワンカップで顔を真っ赤にさせるのかもしれない。」
「大好きな煙草も満足に買えなく、
最近はシケモクにしかお目にかかってないのかもしれない。」
「来月までに300万円耳そろえて用意しなければいけないのかもしれない。」



悲しい想像力は、膨らみ続ける。
おじさんの境遇を思うたび、落ち込み続ける私。


・・・・やばい・・・・
怒るつもりが
むしろ、切なくなってきた。


こ、、これは
この気持ちを挽回させるには
鼻唄パワーに頼るしかない・・・



「必殺仕事人のテーマ」
ふふふーーーーーんふふふふふふふふふふふーーーーん
ふふふーふふふふふふふふーん
ふふふーふふふふふふふふーん
ふふふーふふんふふふふーふふーん・・・


・・・気持ちが高ぶるのはいいけれど、
いかんいかん。
さすがに「殺」はだめでしょ。



これはどうだろう。
元気を出す意味もこめて
アップテンポで。


「スタン・ハンセンのテーマ」
http://keitai.excite.co.jp/melo/detail/music/?mid=42115

ふーんふふふふーんふふふーんふふふーんふーんふーんふん
ふーんふふふふーんふふふーんふふふーんふーんふーんふん
ふふふふっふふふふっ



お、お、お、お・・・・・
きたきたきたきたぁぁぁぁぁ・・・・・




・・・・・ウィーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
(テキサスロングホーン)




すっかり闘争本能を開花させた私は
臨戦態勢。



こら、運転手。
いつでもこいやー!!!!


とばかりに、じろりとにらみ返したそのとき!!!!!!




・・・・目的地、到着。





「命拾いしたな」
660円を支払った私は
そんな目でタクシーを見送ったのだった。



結局、鼻唄(しかも、おっちゃんには聞こえないほどの小さい鼻唄)
だけで
ただの一言も発しなかったのは
私がビビリだからとか、チキンだからとかじゃなく。


ほら、
エスタン・ラリアット
リングに沈めたら、
男手一人で子供を育ててる薄幸のおっさんがかわいそうでしょ????