そして伝説へ・・・・・・。

momocolor2006-01-31

人間として生まれたならば
一度は叶えたい大きな夢がある。
男として生まれたならば
命をかけても、譲れない夢がある。


「男の夢」と書いて「浪漫」


しかし、その夢ははるか彼方。
天竺よりももっと向こう。
バビロンよりももっと向こう。


人はその夢の前に
ひとえに風の前の塵に同じく・・・・・・・。



叶えられるのは、ほんの
一握の人間のみ。



しかし、男はその夢を諦めなかった。
そうしてついに・・・・・・・・・・。






ぶるるるるるぅぅぅぅぅぅ
ぶるるるるるぅぅぅぅぅぅ



会社帰りのコンビニを出て、
家までの帰り道を歩いているとき
私の携帯電話が鞄の中でくぐもった音を鳴らした。



「もしもし?」



電話に出た私に、電話の主がこういった。



「人間には2種類ある。
『夢を夢で終わらせる人間』と『夢を現実とさせる人間』」



・・・・・挨拶も何もなく、突然語りだす電話の主。



「いい学校に入りたい。一流会社に入りたい。
社長になりたい、大金持ちになりたい。
ビックになりたい。有名になりたい。


人の数だけ、夢の数はある。
でも、そんなのはたいした夢じゃない。


あのね、
人類には、共通の夢があるんだよ。」



声の主は、高ぶった感情をこらえきれないように
熱く語りだした。



「そして今日。
人類はついにその高みにまで登りつめることが出来た。
夢を叶えた男がいたんだよ。
人類最大であり最後の夢・・・・・




まっ裸でプールを泳ぐという夢を・・・・・・




・・・・・・・は?



今なんと?


ねぇ


おにいちゃん?




説明しよう。



私には、私のままんと同じママンに育てられた
血の繋がった兄がいる。



私のままんの第一子であるところの「お兄ちゃん」
ママンからその(お笑い)スパルタ教育のすべてを叩き込まれ
その教えを私に丹念に教えてくれた師である。



私のままんの息子であり、私の師であるところの兄。
電話は、お兄ちゃんからのものだった。



「ちょっと・・話が見えないんだけど」
疲れた頭で、お兄ちゃんの言ってることが
あるところまで『逝っちゃって』ることだけは理解できるものの
それが「いいところ」なのか若干「犯罪的においのするところ」なのかの
判断が付かなく、質問する私。



「僕は、この世の至福のすべてを体現した。
いわば神の領域にまで登りつめたのかもしれない。


まっ裸でシャープなクロール。
まっ裸で大胆なバタフライ。
まっ裸で大らかに平泳ぎ。



・・・・・そして、禁断の背泳ぎ。



僕は今日をもって『勝ち組入り』を果たしたよ。」



うん。ってゆーかどっちかってゆうとあっちのほうが近いね。


ブタ箱入り



「アラブの石油王だって叶えられない夢さ。


喜んでくれたまえ。



君の兄は、


世界でも10本の指に入る漢(オトコ)の中の男闘呼(オトコ)になったのだよ。」



ってゆーか、暫定一位です。
ちなみに二位は僅差で『ガキ刑事』。





「あ。じゃぁ、ちょっといくから切るね」


といって、電話を切るお兄ちゃん。



この小さな島国日本の
小さな大陸北海道の片隅で
世界の伝説の一ページに地味に名を残したわが兄。



明日の北海道新聞 旭川版の朝刊の
1ページに
小さく名を残すことのないよう、祈るばかりである・・・・・。