その悲劇、音も無く近づくなり。

momocolor2005-10-31

悲劇は音も無く近づく。

そのことに気がついたときには
すでに抜き差しなら無いところまで事態は進んでいる。

悲劇がその身に降りかかって初めて
「なぜあの時あれをしなかったか」と
人は嘆くことになるのである。

週末、私が出会った悲劇とは。。


古本屋が好きだ。
時たま、大暴走をして漫画から小説まで
大量購入してしまうことがある。
加えて季節は秋
「読書の秋」である。

初めて降りた駅。
立ち寄った古本屋さんで思わず買った本は
小説5冊と全2巻の漫画2冊。

その漫画は前から読もうと思っていた吉田秋生の「吉祥天女
上下巻揃いで200円。
本購入モードの私は即購入。

そして悲劇はその漫画で発生した。

帰りの電車の中で意気揚々と漫画の1巻を広げる。
オープニングは葬儀場面。
不可解な言動。

「おい涼、俺はやり方を変えることにするよ。」
「彰、あの女にはかかわらないほうがいい。」
「やつの二の舞になるって言うのか?
だまってみてな。もう俺はだまされないぜ。」

うーん。なにやらサスペンスタッチ。
ページを繰る指がもどかしい。

・・しかしおかしいぞ。
この葬儀が誰の葬儀なのか語られないまま物語は進んでいく。
・・なんかおかしい。
しょっぱなから話の展開について行ってないぞ?

私の理解力が乏しいのか、物語の構成が悪いのか。

・・きっともうお察しがついてるとは思うのだが、
さすがの私もいやな予感がして、一っ番前のページを
めくってみた。

・・・やっぱり。。。

ページのど真ん中にでかでかと
吉祥天女」第2巻とある。

表紙カバーを一度確かめてみる。
確かに「1巻」とある。
確認のためにもう一度中身を確かめてみる。
やはり「2巻」と書いている。

く。。くっそーはめられた。。

というわけで現在我が家には
吉祥天女第1巻の化けの皮を被った2巻と
吉祥天女第2巻然とした2巻が仲良く本棚に並んでいるのである。

あの時、あの時
せめて立ち読みしてから本を買っていればこんなことには、、、

悲劇は音も無く
気づいたときには、もう引き返せないところにきている。

・・1巻読む前に2巻読んじゃったよ。。もぅ。。