みっしょんいんぽっしぶる。

momocolor2005-11-09

夕方18時ごろのことだった。
デスクの上の携帯電話が
マナーモードでせわしなく震える。

そうそれは、今日のミッションの始まりを
告げるベルだった。




そのメールは私のボスからのものだった。

ボスのコードネームは「ママン」
普段は名も無い主婦として世の目を忍んでいる。


そしてミッションのコードネームは
「ヨン」

以下はそのミッションの内容である。
(このミッションは言うまでも無くトップシークレットである。
本文章の取り扱いにはくれぐれもご注意のほどを)


タイトル「多分もう、むりだし」

本文「ははです。
どうしても、ほしいわけではないからー!
もしも?買えたらサンケイスポーツ(新聞)買ってほしいの。
多分、ヨン様帰国写真あるの。」


もう一度確認しておこう。
時間は18時。夕方。これから残業が始まろうとしている時間である。
対して、サンケイスポーツは朝刊。


ママン、それはミッションインポッシブルってもんだよ。


しかし、しかし、しかし
こっちもプロのスパイである。
「…例によって、
君もしくはメンバーが捕らえられ、
あるいは殺されても
当局はいっさい関知しないから
そのつもりで。」
である。


そして「ミッション"ヨン"」は始動した。


作戦1
「捨てる神あれば拾う神あり」大作戦
まず私は手始めに職場の書類ダストボックスを覗き込むことから
行動を始めた。
ココにはホットペッパーやそれこそ新聞がよく放り込まれているのだ。

あー!!早速お目当てのサンケイスポーツ発見!!
いきなりミッション完了じゃん?
そうして新聞を広げてみると
「2005年11月4日」の文字。


作戦1・・惜しくも失敗


作戦2
「おじさまパワーにすがっちゃおう」大作戦
私の職場は男の人ばっかりである。
スポーツ新聞といえば、通勤途中のサラリーマン。
ということで
喫煙ルームで休憩中の中本さんにアタック!!
「中本さん。このフロアのことなら何でも知っている中本さんに
お聞きしたいことがあるんですけども。」
「なに?」
「この界隈で、サンケイスポーツ読んでる人っていますか?」

「?」が浮かんだ中本さんに
事情を簡単に説明し協力を仰ぐ。
しかし、残念な一言。
サンケイスポーツ面白くないからなー。
ほかじゃだめなの?」

・・いやだめです。
別に面白さを求めてるわけぢゃないし。

中本さんは
「石橋さんが毎朝読んでるのは東スポ」って
(役に立たない)有力情報を教えてくれたあと
ヨン様といえばさー、うちのカミさんが・・(以下略)」


作戦2・・中本さんの話好きに負けてあえなく失敗


作戦3
「地道に売店巡り」
時間的にコンビににはもう無いと踏んだ私は
新橋の駅前で夜になると出現する
「なんか怪しい雑誌売り場」に向かう。

そこで売り場のおじさんに
「朝刊はねー、もう回収してるよ。」とどやされる。


作戦3・・怖くて失敗。


・・あと思いつく作戦って言ったら
本当に本当の最後の最後の手。
作戦4「駅のゴミ箱」大作戦
駅のゴミ箱って、最近「危険物」対応のために
シースルーになっていて
お目当ての新聞を捜すには絶好のゴミ箱なのよねー。

しかし作戦4は始める前に友達に
「いや、お母さんはそれは絶対望んでない」と強めに諭される。


作戦4・・たしかに、はい。そのとおりです。・・発動せず。


コンビニにはこんなにたくさん夕刊があるのに。
いっそのこと、「夕刊フジ」で勘弁してはもらえ・・無いよな。。

まさに。打つ手なし。

なんとなく未練が残る私は
ゴミ箱の前を通るたびに
「だめだめ」とは思いながらもふらふらと引き寄せられ
ゴミ箱の中身をただただじーっと見つめるのだった。



あたいはスパイ。
百戦錬磨といわれたこのあたいにも達せられなかった
「ミッションヨンポッシブル」

日付をまたいだ今。
Mission Imcompleted(作戦大失敗)
の文字が頭をめぐる。



ぶるるるるる・・ぶるるるるる
そしてまた
携帯電話のマナーモードがくぐもった音を鳴らすのであった。