稲穂も〜ゆれる恋ゆれる〜私はタクシードライバぁ〜

momocolor2005-11-14

ふと、時計を見ると23時半だった。


・・あぁーぁ。
この作業だけ、終わらせようと思ってたら
こんな時間になってしまった。。


いつもは地下鉄で豊洲から有楽町まで行き、
JRに乗り換え自宅まで帰るのだが、
この時間で地下鉄を使うと、ギリギリJR終電に
間に合わなくなってしまう。


この時間になってしまうと
タクシーで東京駅まで行って、JRの終電に間に合わすほかは手段がない。


ビルの下のタクシー乗り場には
残業サラリーマンを待ち構えたタクシーが
何台もとまっている。


私はオレンジのタクシーに乗り込んだ。


八重洲口、お願いします。」






タクシーの運転手は「どんな道でも任せておきな」
とでも言いそうなパンチパーマのおっちゃん。


たまに運悪く、「東京駅八重洲口」への道すら知らない運転手に
あたってしまうこともあるのだが、
今日はそんなこともなさそうである。


わたしは今日残してしまった作業のことを思い
車の揺れに体を預けて、目をつむり深い一息をついた。
遠い夜景がもっと遠くに揺れる・・・。


少しして、目を開けると、


・・・???
見慣れぬ風景。


どうやら近道を通っているらしい。
おっちゃんはどんどん小道に入っていく。


すごいなー。相当この辺の地理に詳しいんだな。
いつもは1700円くらいかかるけど、
ひょっとすると、安く上がるかもしれない。


そんな期待を孕みつつ、タクシーはアグレッシブに小道を攻める。


・・・しかし、そんな期待とは裏腹に
一向に姿を見せない東京駅。

タクシーのメータは上がる。
方向音痴の私は、どんどん心配になってくる。


メーターが1700円を超えた!!!!
しかしまだ!!!東京駅は見えてこず。


「ち、、ちょっと運転手さん!!!」
私がそう声をかけようとした瞬間、
ようやっと、東京駅ホームの明かりが私の目に入ってきたのだった。


メーターを見てみると、
しめて1860円ナリ。


いや、特別高いってわけじゃないけどさ。
文句も言わず、払うけどさ。


なんだったんだよ、あのタクシー職人的なショートカットは。


そして何なんだよ、その
自信満々なパンチパーマわぁぁぁぁぁ!!!