一杯のかけソバがもたらしたもの・・・・

そこはビルの食堂、お蕎麦コーナーの一角。
そこではおやじさんとおかみさんが
毎日毎日麺を茹でています。

今日も
職員のお腹を満たすため
おやじさんとおかみさんは
せっせせっせと麺を茹でていました。。

そこへ一人の女の子が一杯のお蕎麦を求めてやってきました。

今日の夕方のお蕎麦メニューは
「タヌキそば」と「かきあげそば」

おかみさんは思いました。

「あら、夕飯にお蕎麦を食べにきたのね。
この子は今日も残業なんだわ。」

すると彼女はポツリと注文を頼みました。
「お蕎麦をお願いします。
・・・たぬきぬきで。」

・・・・？
たぬきぬき？

どうしたのかしら。
たぬきそばからたぬきを抜いたら
ただのかけそばになってしまう。

でも、お客様の注文とあらばしょうがない。

麺を茹でて30秒。
茹で上がりの麺につゆを入れる。
ねぎをトッピング。

出来上がりを彼女の前におこうとした・・
・・・・そのとき
ふっと彼女の顔を見ると
なんとも悲しげな顔をしていました。

おかみさんは思いました。
・・・・何か、及びもつかないようなことが
あったのかもしれない。

普段はこんなことをしないんだけど、
そういえば半分に崩れてしまって
商品としては出せないかき揚げがあった。

そうだ。
「ね、かき揚げ半分入れてあげるよ。」

そう言うが早いか
おかみさんはサクサクの半欠片(はんかけ)のかき揚げを
お蕎麦にサッと乗っけました。

彼女はぱっと目を見開いて
小さな声で
「ありがとうございます。」
と答え、去っていったのでした。

「一杯のかけそば」がもたらしたものは
半欠片(はんかけ)のかき揚げと
いっっっぱいの都会のぬくもりなのでした。

ちゃんちゃん。

さて、その後の彼女は***

さて、かき揚げをのっけてもらってしまった
「彼女」であるところのワタクシもものですが。

なんでわざわざ「たぬきぬき」にしたかというとですな。

週末、無駄に食べ過ぎてしまった償いに
少しでもカロリーの低いものを食べようと
メニューの中で一番カロリーの低いお蕎麦を食べようとしたわけだよ。

しかし今日のメニューは
「たぬきそば」

いたしかたない。
天かすは好きだけれども
コレを我慢することから
「再ダイエット」が始まるのだ
!!と思って「"た"ぬき」にしたわけだな。わけだよ。

「一杯のかけそば」がもたらしたものは
半欠片(はんかけ)のかき揚げと
いっっっぱいの都会のぬくもり
・・またの名を「余計なお世話」

「一杯のかけそば」なんて
愁傷なことをしてしまった私にもたらされたものは
お腹いっぱいの幸福と
いっぱいいっぱいの後悔。。。。。。

おいしかったから、余計に悔しい
微妙な乙女心。。。。