メルセデスさんとこのベンツさんの意外な弱点。

momocolor2006-01-15

私のこの
ちょっと残念な頭で思い浮かべる
高級車の代名詞といえば


メルセデスベンツ


あの、ピースマーク
(○の中に鳥の足が生えてるようなマーク)
の一本足りないのを
鼻先にちょんと乗っけて
得意な面をしていやがる
左ハンドルのとっぽい奴。





「お先に失礼しまーす。」
まだまだ作業中の先輩に、きわめて省エネな挨拶をし
急いでフロアから出る私。


やばい。
終電が近い。
この時間だと、地下鉄がギリギリ間に合わないかもしれない。
タクシーを使って、最寄のJR駅まででて行かないといけないか・・・・?


会社前の横断歩道の信号を
ちょっといらいらしながら待っていると
その後ろから私を呼ぶ声がした。


声のほうを向いてみると伊田さんがそこに立っている。


もも「お疲れ様です〜」
伊田「お疲れ様、これから地下鉄?」
もも「そうなんですよー。ぎりぎりアウトかもしれないんですけど・・」


信号を気にしてちょっと焦りながら答える私。
そんな私に伊田さんが神の言葉をかけてくれた・・・。


伊田「今日車なんだけど、東京駅まで乗ってく?」


休日出勤は平日の出勤より自由度が高いので
偉い人の中には車で来ている人も結構いる。


伊田さんの本日のご出勤はお車らしい。



「乗ります!!!!!」


遠慮という文字を思い浮かべる前に
脊髄反射で相当する私。



・・・・・・・・・・
「ラッキ。タクシー代浮いた!」とおもっただろ、わたし。


そんな人の優しさにつけ込むような腹黒さをできるだけ悟られぬよう
伊田さんの後ろについて会社近くの駐車場へ。


その駐車場にあった伊田さんカーは


・・・・?
何かしらの違和感を持たせる車。
何の変哲もなさそうなんだけど・・・・。


左と右を瞬時に解することが苦手という
人間として生きるのに
必要最小限の反射神経に乏しい私は
足りない反射神経でこの違和感を解明しようと努力する。



えっ・・・とぉぉぉ・・・・・・。
お箸を持つ手が右手でしょ?
とすると、
人の右頬を平手打ちする手は・・・えっと、左手だから・・・・


あれ?
これは左ハンドルという奴ですか?


ってゆーか、
車のバンパーの鼻先部分に
ちょっと、ちょっと力を加えれば
すぐさま"くにゃり"といっちゃいそうな
きわめて弱そうな、
しかし、くにゃりと曲げてしまったが最後
きっと
「あなたのお値段鑑定します」で鑑定した私の値段よりも
若干の高めの修理代を払う念書に無理矢理サインさせられるという形の
ある種の経済的力強さをもつ突起物が・・・・・。


す・・・すげぇ・・・・。
基本、「車は動けばいい」派の
車音痴の私にもきわめてわかりやすい


メルセデス村のベンツ君」
だ。



初めての左ハンドル
初めてのベンツ君
す・・・すげぇぇぇぇ。


何がすごいのかわからないけれども、
なんとなく感心している私の横で
駐車場から出るとき、
伊田さんが車をストップさせて
無言で降りていく。


・・・・?
どうしたんだろう?


伊田さんの動きを目で追うと、
伊田さんは車からわざわざ降りて
駐車場の料金を支払いしている。



・・・・たしかにそうだ。
日本は右ハンドル社会。
全体的に、アンチ左ハンドルで社会は動いている。


「車に乗ったまま料金支払いが出来て便利だねぇ」
という恩恵をすべて奪われた
少数民族"左ハンドル"。


高速料金所も、
駐車場の券売機も
ドライブスルーだって、右ハンドル用である。


・・・マクドナルドのドライブスルーで
運転席から一生懸命注文しようとする伊田さんが私の頭をよぎる。


マクドナルドのドライブスルーのマイクは
立川談志師匠と同じくらい
聞き取りづらいことで有名である。


ハンバーガー一つ」と注文したのに
「はい、あんこたっぷりの"あんバーガー"です。」


なんて、一瞬殺意が芽生えてしまうほどの
"ボケまshow"を繰り広げてくれるかもしれないし


ハッピーセットのピクルス抜きを頼んだのに
ハッピー部分を綺麗に抜いたハッピーセットが出てきてしまうかもしれない。


小雨の中、
濡れながら駐車代を支払う伊田さんを眺めつつ
マクドナルドのドライブスルーで
左ハンドル席から
声を張り上げる伊田さんを想像してにやける私。




高級車に隠された意外な罠。


メルセデス村のベンツさんも
まさか、日本でそんな地味な仕打ちを受けることになるだなんて
夢にもおもってなかったに違いない・・・。